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スクランブルの2回目のイベント「スクランブルvol.2」を5月17日(土)に開催しました。場所は今回も旧香住第二中学校。校舎の中にコンテンツを詰め込んでパワーアップさせました。天気予報通り朝はあいにくの雨模様でしたが、地域の方々はどんどん来場してくださり、最終的に来場者は270名超。このレポートでは当日の様子はもちろん、それに至るまでのプロセスも含めてその一端を紹介します。

準備からオープンに!

スクランブルのコンセプトは「まちに関わるたくさんの人が垣根を超えてごちゃ混ぜになりながら楽しく創るムーブメント」。背景には「アイデアや想いを閉じず、オープンにしながら、地域の余白を楽しくみんなで使いこなしたい」というスクランブルの構想当初から一貫した考えがあります。

地域の中にはネガティブな話題も少なくありません。パッと解決策を出せるならとっくに地域はポジティブだらけの場所になっているはず。でも、実際はそうではなく、色んな要素が複雑に絡み合っている。だから、1人で思いつくことやできることには限界があると潔く認めて、色んな人にどんどん一緒に相乗りしてもらって話を膨らませて。思いもよらない方向に寄り道もしながら気づいたら想像以上のところに行き着いている、そんな地域のプロジェクトを作りたい。スクランブルはそんなチャレンジです。

だから、運営側が一生懸命準備してお客さんをおもてなしすることよりも、一緒にムーブメントを作る人が1人でも多く増えることが大事。そんな考えで、スクランブルvol.2の開催1週間前に2日間「準備DAY」と称して、事前準備もイベントにしながら楽しみました。 準備DAYには各日複数の親子が参加してくれて、一緒に校舎の掃除や会場の設営をしました。前回は限られた運営メンバーだけで準備をしましたが、今回は子どもたちの無限のパワーが加わって、あっという間に校舎が綺麗に。そして、何より、賑やかで楽しい。校舎の中で子どもが走りまわる光景は、香住第二中学校が廃校になってから4年越しのことでしたが、校舎もきっと喜んでいたはずです。

オリジナル通貨「ランブル」のチャレンジ

スクランブルvol.2ではいくつもの新しいチャレンジをしましたが、中でも目玉企画だったのがオリジナル通貨「ランブル」。ランブルは、スクランブルの中でこどもたちが使うことができるお金です。ランブルは準備DAYや当日のお手伝いで貯めることができ、貯めたランブルを使ってスクランブル内のお店で買い物ができるという仕組みになっています。

準備DAYに来てくれた子どもたちには、廃校の掃除が一段落したお昼にランブルを貯めるためのランブルカードをお披露目しましたが、そこからさらに子どもたちのモチベーションが上がったような気がしました。

そして、ランブルを導入するのにあたって全面協力してくださったのが但馬信用金庫さん。構想段階から親身になってお話を聞いてくだっさり、準備DAYから参加していただきました。準備DAYに但馬信用金庫の職員さんが設営してくださった「但馬信用金庫スクランブル支店」は驚きの完成度。この但馬信用金庫スクランブル支店ではランブルカードに貯めたスタンプに応じて、ランブルの紙幣を引き出すことができます。入室した子どもたちには本物の金融機関さながらの適度な緊張感が走ります。子どもたちが、普段会わない大人と対等に出会ってやり取りできるのは、肩書きや立場関係なくフラットにごちゃまぜになろうとするスクランブルのコンセプトならではだったかもしれません。

スクランブル当日も仕事を見つけてランブルを貯める子どもたちの姿で溢れました。運営側にいる大人がお願いする仕事にとどまらず、「教室の机を綺麗に拭いたよ」とか「シートが飛ばないように裏にテープを貼るのはどう?」とか子どもたちが自分で気づいて率先してイベント運営に関わってくれる姿が印象に残っています。

通貨が介在することで、自分のアクションの価値が対価として認識でき、それが新しいモチベーションを生んで、次のアクションにつながる。お金の原理的な役割や潜在能力をわかりやすく見た瞬間でもあったような気がします。やってみて分かった次へ向けての反省点なども多々ありますが、それ以上に可能性をより感じる取り組みになりました。もしかしたら、この取り組みはお金や金融のリテラシーを育むかもしれないし、社会的起業の第一歩目を体験するような取り組みになるかもしれない。まだまだ想像が膨らみます。

地域にある商いや小さな手仕事が彩る暮らしの豊かさ

スクランブルvol.2では校舎内に、オリジナル屋台を使ったクラフトフードのマーケットと図書室を活用したセレクトショップを展開しました。前回に続いてフードは売り切れが続出する盛況ぶり。香美町を中心に但馬各地から素敵なお店が集まってくださったのですが、自分たちが暮らしている地域に美味しくて素敵なお店があることを誇らしく思った方も多かったのではないでしょうか。「今度はお店に遊びに行くね」会場ではそんな声もよく聞こえていて、地域での暮らしをさらに豊かにするきっかけの日にしてくださった方もいたように思います。

セレクトショップにはハンドメイドの商品やエッセイ、アートなどが並び、興味深そうに商品を手に取ってくださる方の姿が見られました。今回集まった商品は、それを生業にしている人たちのものばかりではありません。本業で別の仕事をしながら日々の楽しみとして制作をしている方の商品も多く集まりました。並んでいる商品を見ながら、日々の中に楽しみや制作のやりがいを見つける暮らし方を想像し、「私も何かやってみようかな」とか「次はここに自分の物も出してみたいな」とかそんな展開につながっていくと嬉しいなと思っています。

スクランブルはつづく

スクランブルvol.2では、1秒1秒にこのレポートには書ききれない光景が溢れていました。スクランブはこれからも続きます。スクランブルは一過性のイベントではなくムーブメント。子どもたちの持っているランブルは今回に限らずこれからも使い続けられる仕組みにしていきたいと思っています。今後も廃校を彩るコンテンツにしていくことを目指して、皆さんからの本の寄付で作る「スクランブル図書館」も今回始動しました。スクランブルvol.2を終えて真っ先に浮かんだのは、「ごちゃまぜって、スクランブルってこんなに楽しいんだ」という感想です。

次は秋ごろにvol.3ができたらいいなと構想中です。そして、それだけではなく「地域の中で垣根を越えてやりたいことをやってみること」それ自体がスクランブルの本質なので、カジュアルな企画もフットワーク軽くやっていけるといいなぁと想像しています。

楽しく出来ている限り、スクランブルは続くはずです。だって楽しいから。

スクランブルはつづく。皆さんのさらなる相乗りを待っています!